事例紹介 ~魅力ある職場づくり~ CaseReport7
就職活動に伴う説明会や採用面接に足を運ぶのは、何となく気が重くなりがちです。
そこで「訪問看護ステーショントータルケア」では、その垣根を低くし、気軽に訪問看護の仕事について質問や相談ができる場として、「ほうかんカフェ」を開催しています。
訪問看護師の募集に苦労する中で、まずは訪問看護について話を聞きに来てもらおうと始めたこの取り組みについて、トータルケアで多くの訪問看護ステーションの広報・採用に携わる伊藤貴浩さんにお話を伺いました。
伊藤貴浩さん
訪問看護ステーショントータルケアでは、これまでさまざまなところで訪問看護の説明会やセミナーを開いてきました。しかし、看護師の仕事というと、まだまだ病棟での業務という印象が強く、訪問看護に目を向けてくれる方が少ないため、看護師募集に苦労しているのが現状です。そこで採用より前に、まずは訪問看護を知ってもらい、理解を深めてもらうことが第一歩であると思いました。
さらに、当社が掲げる「自由な働き方」に対する不安や疑問を持たれる方が多かったので、もっと訪問看護について理解を深めてもらうとともに、当社の働き方を知ってもらうにはどうしたらいいかを考えた結果、カフェのようにお茶を飲みながら、訪問看護について気軽に質問や相談ができる場として「ほうかんカフェ」を設け、2024年6月から開催しています。
ほうかんカフェの目的は訪問看護について広く知ってもらうことなので、看護師に限らず、訪問看護に興味のある方なら誰でも参加できます。1回あたりの参加者も一人か二人といった少人数で、ステーションの訪問看護師がお話を聞いたり、質問に答えたりするかたちで開催しています。
人材確保という点ではオンライン面談なども行っていますが、画面越しだと「他に質問はありますか」と聞いても、「大丈夫です」で終わってしまうことが多いです。実際にお会いしてお話しして、ステーションの様子も見てもらったほうが理解してもらいやすいため、募集についての問い合わせがあった場合には、なるべく「ほうかんカフェ」に誘導しています。
「ほうかんカフェ」は、これまで主に関東圏にある訪問看護ステーションで、25回開催していますが、20人程度が採用に至っています。問い合わせから入職に至る採用率は当社全体では30%ほどですが、「ほうかんカフェ」から採用面接に進んだ方は全員入職しています。しっかりと疑問点を解消し、収入面も含めて具体的な状況を理解した上で納得して入職できるためだと、「ほうかんカフェ」の手応えを感じています。
当社の特徴として、ご自身で働く日、働く時間を決めてもらいます。明確な給与体系、そして看護業務負担軽減への取り組みがあります。その内容について説明します。
働き方
・3つの働き方:週40時間の働き方、週30時間の働き方、週20時間以下の働き方の3つを用意しています。自分のライフスタイルによって働き方を選ぶことができます。
・働き方、自由自在:勤務は、働く日、働く時間をご自身で決めてもらいます。3つの働き方の条件の中で自由にシフトを組むことができます。1日の勤務時間も、始業終業時刻も思いのままです。
給与体系
・時給と訪問手当による給与体系:出勤に応じた時給と訪問手当、オンコールによる手当により給与が決定します。1訪問に対して手当が支払われるため、たくさん訪問に行くと給与が高くなります。
・「年収シミュレーター」(図)で希望の働き方の年収をイメージできる:年収シミュレーターを利用して希望する勤務時間、曜日、1ヵ月の勤務日数を入力して自分に合った勤務形態と年収を算出することができます。
△年収シミュレーター
負担軽減
・コールセンター(電話対応専属部署)の設置:「看護師が看護のみに集中できる環境を構築すること」を目的として、各ステーションに電話対応専属部署を設置しています。看護師が昼夜を問わず看護に集中できるよう、電話対応専属部署も24時間365日稼働しています。
・オンコール手当に関して:オンコール当番は、働き方により、週に2回、もしくは月1回です。24時間365日稼働するためには早番、遅番、オンコールの看護師が必要不可欠です。そのために、トータルケアでは人員の薄い時間帯にはインセンティブが付くポイント制度が導入されています。全ての看護師に、働き方に応じた適切な給与が支払われるべきであると私たちは考えています。
このようなさまざまな取り組みにより、離職率は2015年から2023年までが平均21%であったのに対し、2024年は16%となる見込みです(当社全体のデータ)。
今後は、さらに訪問看護について広めていくために、他業種と連携しながらより多くの方に訪問看護を知ってもらえるように活動していきます。
年収シミュレーターで興味を持ち、仕事内容や働き方を知りたくて参加
横山充さん
私は6、7 年、訪問看護師として働いてきましたが、どうしても基本シフトが決まっていたり、曜日が固定されていたりすることが多く、もっと自由に働きたいと思っていました。
トータルケアの募集要項を見ると、働き方が自由で自分でシフトが決められますし、ホームページの年収シミュレーターでは、しっかり収入もわかります。
そこに興味を持って、まずは話を聞いてみようと「ほうかんカフェ」に参加し、そこでいろいろな疑問が解決したので、入職を決めました。
採用面接では聞きにくい給与のことなど、何でも気軽に相談でき、納得できました
N・Mさん
ホームページで「ほうかんカフェ」のことを知りました。カフェにお茶を飲みに行くような感じで、採用面接のような堅苦しい雰囲気もなく、リラックスしていろいろなお話が聞けました。
私は、看護歴は長いのですが訪問看護は初めてで、働き方や仕事の内容については不安もありました。
採用面接では聞きにくいお給料のことまで質問できて、働き方に納得して入職しました。