事例紹介 ~魅力ある職場づくり~ CaseReport6
2023年から医療対応型療養施設事業を全国展開(6都県9事業所※)している株式会社フレアスは、2024年5月に「フレアスメディカルケアホーム板橋西台」をオープンしました。
オープン時スタッフへの「開設祝い金」や、入社時から使用できる休暇制度「入社時特休」など、社員アンケートからの声を拾い上げた社員ファーストのさまざまな取り組みを実践し、人材の確保や定着につなげています。
その取り組みについて、人事・教育に携わるケアサービス事業本部の田邉ゆかりさんにお話を伺いました。
※取材時
田邉ゆかりさん
当社は「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」ことを理念としています。その実現のために毎年従業員満足度調査を実施し、そこで拾い上げた社員の要望や声をもとに幹部が検討して取り入れた、さまざまな人材確保対策のための取り組みがあります。
その一つがオープン時のスタッフに支給する「開設祝い金」です。オープン時は慣れない環境の中での勤務となり、身体的にも精神的にも負荷がかかるために、それをねぎらう形で、新規開設時に入社した方には最大50万円を支給しています。スタッフ採用には人材紹介会社を利用する方法もありますが、その場合かなりの紹介料がかかるので、その費用を社員に還元して自分のために使ってもらおうと、自ら応募して入社した方に支給しています。
また、「入社時特休」という入社当日から使用できる5日間の有給休暇のような制度があります。社員の場合、入社半年間は有給休暇が付与されません。そのためこの制度は、例えば急な体調不良や家庭の事情が起こった時に、欠勤とならずに休むことができると好評です。新入社員全員に付与され、その使い方は自由のため、中にはリフレッシュ休暇として旅行に出かける方もいます。この制度の利用率は100%です。
「時間単位の年次有給休暇」の制度もあり、年間で合計して5日分(35時間)まで、1時間単位で有給休暇を取得することができます。お子さんの急な体調不良などのお迎えやご自身の病院受診など、「少しだけ休みがほしい」といった場合に利用している方が多いです。
新規開設のタイミングで入社する方には、開設時研修として最長1か月の研修を用意しています。また、既存施設へ入職する場合は、現場研修がメインとなりますが動画学習システムも導入していますので、学びたい内容を自分の好きなタイミングで学ぶことができます。研修内容は「医療対応型療養施設とは」から始まり、入居者の疾患に関する知識や技術面、ご家族とのかかわりなどを事例を示しながら学んでもらいます。
また、定着対策として効果を発揮しているのが、人事が担当する「メンター制度」です。みなさんいろいろな悩みを持っているのに相談することがないまま気付いた時には退職が決まってしまっているケースも少なくありません。これまで訪問看護ステーションで働いてきた私の経験から、その前に相談相手になれたらという思いで始めました。一緒に働くスタッフではない、本部勤務という少し距離をおいた立場の者が悩みを聞くことで、気持ちが軽くなることもあるようです。その結果、退職を留まることにつながることもあり、私としても会社としてもうれしいことです。
このような人材確保の取り組みや定着対策を行った結果、会社全体(429拠点※関連事業含む)の数字にはなりますが、2023年の応募者数が586名だったのに対し、2024年は上半期だけで830名の応募があり、多くの応募を獲得することにつながっています。また、看護職員の多くは既卒者です。日本看護協会2023年病院看護実態調査によると、既卒者の離職率は16.6%ですが、当社の離職率は15%なので定着対策の効果を発揮していると思います。
医療対応型療養施設での看護については、まだまだ知られていない、あるいは特別な看護というイメージがあります。もっと深く知ってもらうために、今後はSNSでスタッフの声を発信していきたいと考えています。また、看護管理者のための研修を取り入れたり、外部の研修への参加に金銭的補助を行うなど、キャリアアップを支援していく予定です。
※取材時
△メンター制度は、スタッフの定着につながっている。
入社時特休を活用することで、余裕のない時期を乗り越えられました。
髙谷裕子さん
入社時は仕事を覚えることや環境に慣れることに必死で、張り詰めた緊張で体調を崩したりしたことがありましたが、入社時特休を利用することで、気兼ねなく休養することができました。
その結果、プライベートも充実させることができ、気分的にもリフレッシュすることができて、施設利用者への質の良いサービスにつなげることができたと考えています。
開設時研修で基本に立ち返ることができ、スタッフとのコミュニケーションも活発に。
S・Hさん
私は開設時研修として3週間の研修を受けました。オムツのあて方なども年々自己流に変わってきていましたが、研修であらためて指導してもらったことで、基本に立ち返ることができました。
また、施設内の備品置き場やツール作成など、各自の経験や知識を基に創り上げていくことで、スタッフ間のコミュニケーションも活発になり、オープニングスタッフとしての自覚を持つことができました。