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事例紹介 ~魅力ある職場づくり~ CaseReport2

2023.11.20

重症心身障害児者施設(以下、重心)では、「療育」という利用者さんの個別性を理解した上でのケアが求められます。そのため、経験採用者は今まで培ってきた知識やスキルがそのまま通用しないなど、不安や戸惑いを感じることも少なくありません。

そこで重心未経験の経験採用者が早く職場適応できるように支援する「経験採用者育成支援研修」と、経験採用者が目標をもって看護実践するための「経験採用者フォローアップ研修」を開始しました。

その取り組みについて、看護科の木田井草看護担当科長にお話を伺いました。

木田井草看護担当科長

経験採用者の不安や戸惑いをリサーチ

経験採用者は入職間もない頃に「これまで培ってきたスキルが通用しない」といった不安や戸惑いを感じることが少なくありません。経験してきた知識や技術を十分に発揮しながら安心して働いてもらうためは、教育支援と環境整備が必要だと感じました。

そこで、経験採用者を教育支援する指導者を対象として、2023年度から「経験採用者育成支援研修J を行うことにしました。研修内容を作成するにあたり、まず研修の講師が現在勤務している経験採用者にヒアリングして、経験採用者の現状を把握することから始めました。

経験採用者のニーズや能力に合わせた指導方法

研修では、講師がリサーチした結果をもとに「一般病院との看護の違い」「ケアのスキルの違い」「観察の視点 」など、指導者が把握しておくべきポイン卜を学びました。

また、経験採用者のニーズや能力に合った指導をするうえで大切にしてほしい点、たとえば「経験者だからできて当然という視点をもたない」「スキルや知識がある人でも職場のルールや風土に慣れるには一定の期聞がかかることを前提に指導する」「職場で和める雰囲気をつくる」ことなどを説明しました。

指導者は、この研修により経験採用者の状況を理解し、それに基づき具体的な指導計画を立案しました。さらに得られた気づきを現場にフィードバックして、それぞれの指導に役立てています。

「経験採用者フォローアップ研修」で同期と想いを共有

△経験採用者フォローアップ研修

経験採用者の研修として、悩みを抱えやすい入職半年後に「経験採用者フォ口ーアップ研修」を組み込みました。同期同士で仕事の悩みや重心看護に対する想いを語り合う座談会形式の研修です。

皆さん悩みを共有でき、次のステップに進む活力になったといいます。

また、ご自分の経験から、重心での業務改善の提案もあり、これらの意見を拾い上げていくことで、業務の質向上につながっていくのではないかと私たち研修運営者にも、とても参考になる意見が多かったですね。

不安や戸惑いが軽減し、スムーズな看護業務を実現

当センターではペアナーシングを採用していますが、ペアを組む先輩看護師は重心での経験も長く、自分たちができていることができて当たり前と思い込み、経験採用者の戸惑いに気付きにくい状況がありました。

しかし、研修を通しての気づきをスタッフにフィードバックすることで、現場での指導体制もかなり改善できたと思います。その結果、2023年4月に入職した職員は、重心看護にやりがいを感じながら、順調に仕事を続けています。

看護科長からのメッセージ

「フォローアップ研修J で共感し合い、重心看護の魅力を見つけてほしい。

杉田弓子看護科長

一般病院とはかなり違い、利用者さんの個別性に応じたケアを要するため、これまでの看護経験をすぐに発揮できないという戸惑いはとてもよく理解できます。

現場では先輩看護師の技を伝授してもらいながら、フォローアップ研修では同期と語り合い、「皆もそうなんだ」といった共感を得て、それを明日につないで重心看護の魅力を見つけていってほしいですね。


スタッフの声

同期と語り合える「フォローアップ研修J で、また頑張って働こうと前向きになれました。

橋口亮さん(準医療病棟)

以前から重心での看護に興味があり、2023年4月に入職しました。それまでは一般病院で10年近く働いていたので、そことの看護の違いに戸惑ったり、不安になることは覚悟していました。しかし、先輩たちが丁寧に教えてくれるので、自分でも驚くほど順調に看護業務を行えています。

また、フォローアップ研修では、自分だけできないと思っていたことが皆も同じように感じていたことを共有できて、また頑張って働いていこうと、前向きになることができました。


指導者研修を受けたリーダーのフィードバックで、経験採用者には自分から声掛けするようにしています。

菅野由紀さん(医療病棟)

リハビリ病院から当センターに来て3年目になります。私も当初は経験者として即戦力と見られて、先輩に聞きたくても聞けない場面もありました。

今回、研修に参加したリーダーからのフィードバックを受けて、自分から入職者には積極的に声掛けして、何でも聞いてもらえるような雰囲気づくりを心がけています。